超 DIY 謎のイベント「なんとかフェス」


「松本哉ののびのび大作戦」 15号 (09年9月2日)より
松本哉


 衆院選も終わり、悪の権化=自公政権もケチョンケチョンになり、ひとまずはめでたしめでたしっていうところだ。
 しかし! そんな歴史的な選挙の1週間ほど前、いったいなにが行われたかというと…。そう、かねてから目論まれていた長野作戦!! いや~、とんでもな かったね! こりゃ、民主党どころの騒ぎじゃないぞ。

 政治が盛り上がっている傍らで、我々は日々、仕事に行けば安い給料でコキ使われ、日常生活では「あれを買え、これを買え」と、やたらと金を使わされ、散 々金を巻き上げられる。で、たまには遊びに行こうかと思ってみると、各種の遊び場やイベントに金もうけ連中が入り込んでいて、これまた金をふんだくられ る。職場でも日常でも金を取られ、遊びですら金を使わされる。おまけにその、金を使った遊びですら、「明日の労働の糧」にされてしまうという、まさにボッ タクリ経済もはなはだしい世の中。まったく、冗談じゃねえ!!
 …という、そんなくだらない社会に対抗して、タダ同然で遊んでしまおうという強力なイベントが、その長野作戦「なんとかフェス2009」だ。長野の話は この連載でも何度も登場しているので、ご存知かもしれないが、要するにたまたま知り合ったリサイクル屋のオッサンのウラ山でやるイベント。ということで、 その会場には、まさに何もなかった!! 水道もなければ、トイレもない。店もなければ、そもそもそこへ行くための交通手段すらない。まさに、勝手にやるイ ベント!
 それを、半月ほど前から準備の先発隊が現地に行って、草を刈ったり、ステージを作ったりして何とか会場を作り、イベントに備えた。しかし、その「なんと かフェス2009」が行われるのは8月21~24日と、3泊4日。大丈夫なのか?

ジローズビッグマウンテン。なかなか広い。


【与作事件勃発】
 さて、フェス初日。イベントが始まる時間になったのだが、いまいちまだ人の集まりが悪い。しまった、さすがに山奥過ぎたか? それとも告知の地図がいい 加減すぎたのか??
 とりあえず景気づけにDJがレコードをかけ始めてみるが、その会場のジローズビッグマウンテンのボス=ジローさんが、すかさず「おい、これを頼む」と1 枚のレコードをDJに渡した。北島三郎の「与作」だ! そして、ジローさんはイスを持ってきてスピーカーの前に設置し、ゆったりと座る。超特等席だ! し かもマンツーマンなので、DJも与作をかけざるを得ない! そして、DJはそっとレコードに針を落とす。夕暮れ時の山には「与作は木~を~きる~ ヘイヘ イホ~ ヘイヘイホ~」と爆音で流れる! おいおい、なんだこれは! フェスの初日だぞ!! そんなことをするために2ヶ月も準備してきたのか!?

【狂乱の4日間が開始!】
 しょっぱなの与作事件で一瞬ひるんだものの、その後はいきなり大盛況だった。適当な地図で告知したにもかかわらず、どいつもこいつもテントや食料を持っ て山に登ってきて、なんだかよくわからないうちに100人ほどが集まった。しかも、東京から来た人も多かったが、関西や富山、もちろん地元長野からもとん でもない奴らが続々と登場した! で、祭りが始まってしまえば、もう、あれよあれよと、連日、大騒動のままイベントが延々と続く。バンドやDJが20組弱 出演して盛り上がりつつ、「祭りとは何か」というテーマのトークセッションもあり、映像もあり、火も煙もあり、「祭」は続いた!
 さらには、かまどを作って共同で自炊をしたり、その辺に落ちているもので妙なものを作り出す奴がいたりと、好き勝手にやっていた。ドサクサにまぎれて、 床屋とかマッサージ屋、カフェの露店を出す人がいたり、本やCD、Tシャツを売る人もいたりもした。まあ、イベント内容に関しては、この紙面じゃ語りきれ ないところもあるので、また別の機会にでも紹介するとして、とりあえず、今日のところは写真で雰囲気を見てみてもらうよりない。まあ、すごいことになって いた。

かまどを作って自炊。なかなか豪華な食生活だった!


【ステテコ事件勃発!】
 当然、近隣住民にも衝撃は走った! 普段はあまりに人のいない長野の山に、若い奴らが集まってきてるのに触発されたのか、その山の入り口にある自動車の 板金工場の社長も、ステテコ姿のままカミサンを連れて飛んで来た! なんか文句でも言いに来たのかと思ったら、まったく逆! 「やっぱり、若い奴らはこれ ぐらい賑やかにやらなきゃいかん!」などと、大喜びだった。あまりに絶賛していたので「一言、挨拶お願いしますよ」と頼むと、「いや! この姿じゃ人前に は出られないからダメだ!」と、木の陰から出てこずに帰ってしまった。あれ、残念! …と思ったら、翌日、今度はちゃんとした服でやって来て、差し入れな んかも持ってきた。「いよっ、ステテコ社長!」の聴衆からの掛け声とともにステージに立ち、「ジローさんと必死になってこの山を切り開いてよかった! 今 回だけではなく、毎年、大いにやってください!!」と、大げさすぎるほどの大演説! ありがとう、ステテコ社長!
 一方、なんだなんだとビックリするおじいさんもいた。山に散歩にでも来たのかフェスをみかけ、訝しがるが、「山でなにやってんだ? ジローんとこか。 まったくしょうがねえな~」と言って帰っていった。さすが、田舎。全員が知り合いだ!

ステージ付近では、常にマヌケなやつらが騒ぎ続ける。


 まあ、そんな感じで、4日間、特に問題もなく祭は終わった。いやいや、よかったよかった!
 しかし、やっぱり、祭の醍醐味はやっぱり自分らの手でやることだ。その手を離れて、誰かにゆだねると一瞬で祭はつまらなくなる。これはもう、金もうけと 化したしょうもないイベントなんかに行って祭を消費してる場合じゃないね!
 ついでだから、もう一言。
 こういうくだらない世の中だから、反乱は起こしたくなる。だが、デモや集会をやったり、立て篭もってみたり、なだれ込んでみたり、警官を殴ってみた り、っていうことばっかりに追われてしまっては本当の力にはならない。なんでも金を巻き上げようとするボッタクリ経済に巻き込まれないような日常生活だっ たり遊びだったりを、自分らで勝手にやってしまえば、もう怖いものはない。
 金もうけ連中の世話や餌食にならなくて済むような生活と祭!
 う~ん、これはやはり、ステテコ社長の言う通り「なんとかフェス2010」をやるしかないか!

巨大スクリーンに映像が流されたり、花火が焚かれたりと、何 が起こるかわからないフェス!

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